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zoom RSS 『楔形文字』と日本の文字

<<   作成日時 : 2009/12/29 03:44   >>

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 『楔形文字入門』(杉勇著/講談社学術文庫)を見つけたので読んでみた。子どもの頃に読んだ歴史の本や、高校時代の教科書で少し知っている程度だったが、中世以降、特に近代からの解読の歴史はとてもおもしろかった。消滅し読み方が伝わっていない言語、それを考古学の成果や言語学的な追求によって復元を重ねていく過程にうならされる。楔形文字はメソポタミアの諸国でさまざまな形で使用されたが、セム語圏のアッシリアやバビロンでのアッカド語、ペルシャの言語などでもそれぞれの言語に合わせて用いられた。ヘブライ語自体はセム語ではあるが、文字としては楔形の系統ではない。しかし楔形文字で表現されたアッカド語が、後に広く中近東で公用語として用いられるアラム語に融合し、それが捕囚期のヘブライ語に影響していることを思うと、少しは興味もわくものだ。『楔形・・・』にはその辺りの話題は登場しないが、アッシリア学と聖書の関係についての学史的なことは後半に記されている。

 それにしても表意文字でもあり、音節文字でもある(また表音文字であったりもする)楔形文字をよくも解読したものだと思う。日本語を知らない外国人が、現代日本語をひらがな部分を万葉がなに変えた文章を読まされたら(実際はさらに複雑なのだが)楔形文字の解読の苦労が解るかもしれない。言い換えると日本人の文字の感覚は楔形文字を研究する上で有益なのかもしれない。
 しかし、実際に楔形文字を使用した言語について学ぶには、そのためのテキストも皆無に近いのが日本の現実である。(ついでにいうと主語・述語等の構文については自由度の高いギリシア語なども、構文がめちゃくちゃでも意思疎通ができてしまう日本語の感覚なら理解しやすいと思うのだが、残念ながら教材をはじめ学習環境はあまり恵まれていない。欧米人が一生懸命S-V-Oなどの自国語の文法構造に配列を変えて研究しているのにならって、あえて日本人がやらなきゃいけないのかな、と思ったりもする。まあ、すっきり理解するにはいいのかもしれないけれど、言語のニュアンスはどうなんだろう)しかも、最近は出版業界の危機で書物が手に入りにくくなってきている。WEBベースで研究書を読むなんていうのもゾッとする。閑話休題。

 17世紀に医師として日本を訪れたドイツ人エンゲルベルト・ケンペルは、『日本誌』を著して江戸の日本を世界に知らしめたことでもしられるが、同時にバビロニアで発見された文字に「楔形文字」の名を与えてヨーロッパに知らしめた人物でもあった。彼は日本滞在で「日本語」の文字の特殊性に関心を持ち、同様にバビロニアの楔形文字にも留意した。『楔形・・・』の著者の杉氏は「もしケンペルが日本語の知識でもってこの文字の解読にもっと深く研究を進めていたならば・・・」楔形文字解読の名誉は彼が受けていたのでは、と記している。

 極東と言われる場所で、(ほぼ)一島国の一国民に話されているだけの日本語ではあるが、まだまだ秘めたるアドバンテージがあるかもしれない、と思わされる年の瀬だった。



 

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
Takumi-san, why don't you become a linguist after your career as Pastor is over? ギリシャ語の語尾変化の多さにへこたれそうになっているクリスチャンより。
Sharon
2009/12/29 09:52
まあ、この英語がわかんない時点で言語学者にはなりません(笑)

「語学に王道なし」ですね。
takumi
2009/12/31 00:51
そうですか。ちょっと大げさに書きすぎました。すみません。さて、ギリシア語第8課の最後にある言葉に今日励まされました。「ギリシア語学習の前途に待つ光明は大である。勇ましく前進せよ。しかし、これは大事業である。(略)一語ずつ、一句ずつ前進せよ。急がずに、そして休まずに。」(p.32)今とにかく毎日これを続けています。takumi-sanも英語チャレンジしてみて下さい。私はギリシャ語終わったら、ヘブル語も学びたくなりました。理由は聖書解釈(釈義)学という視点から旧約聖書をもっと学びたいからです。聖書をもっと深く読みたいという願いが9月から湧いてきました。きっかけとなる素晴らしい授業をありがとうございました。来年もよろしく。
Sharon
2009/12/31 09:34
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